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平隊士の日々 元治元年卯月九

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元治元年卯月九

起きると珍しく、森が起きている
昨夜はあまり眠れなかったようだ
おい、静馬、入隊時に何か、言われたか?
そういえば、土方副長に将軍様は好きかと剣術は何派かと
違う、違う、組長にはなにか言われたか?
確か、松平様のお預かりになるので、
えーと、武士らしくあれ、
浪士と対面しているときにに逃げちゃダメ
隊の名前で、借金してはだめとか
隊の名前で、市井の争いごとを調停してはいけない
あと、隊士どうしで喧嘩してはいけないだったかな
そう、だけど、守らないとどうなるか聞いたか
いや、聞いていないけど、
たぶん、隊士を辞めさせられるんじゃないかな
昨日、張り出された局中法度書の最後に、全部、切腹だと
いいんじゃない、新選組を辞めるつもりもないし
法度書を守っていれば、切腹は無いんだし
いや、そうだけど
森、新選組に入る前の生活を思い出してみろよ
話したことはなかったが、丁稚奉公してて、
大したものも食べられず、小遣いもなく、
毎日、小突かれていたんだ
今は、手当も多く、里に送金しても小遣いはあるし、
組長といると、楽しいし、巡察は少し怖いが、
京都の治安を守っているという実感もあるし、
今の方が、断然いい
そうだけど、切腹だぞ
切腹は、武士になれたからだし
森は納得していない
僕も切腹は怖いが、それ以上に、今の生活が楽しい
井上組長が起こしに来たので、掃除して、稽古に行く
朝食、シジミ汁、たくあん、梅干し、ご飯
本日の隊務割、午前は当直、午後は東巡察、夜は当直
土方副長が、新しい隊士割について話した
局長近藤先生、副長が俺、総長山南さん、
一番隊から十番隊の組長は今まで通り
各隊に二人の伍長を置き、伍長の下に二から三の組を配置
組は三から四人の平隊士で構成する、とのこと
今まで以上に、死番の回ってくるのが多くなるのか
藤沢が一番隊へ、石井が二番隊へ、次郎作が三番隊へ
阿部信二郎と加藤民弥が同じ組になった
今日は、僕が死番で、明日が森、
次を誰にするかを虫拳で決める、
加藤が負けたので、加藤が森の次になった
昨日の午後、非番だった三番隊の斎藤組長と刀は買ったとのこと
いつでも出れる準備をして、井上組長と稽古
昼食、鯉の甘露煮、ゆで田螺、煮浸し、味噌汁、ご飯
午後は東巡察、八番隊と出かける
河原町通りで浪士らしき人物を見かけるが、逃げられる
夕食、ニラ雑炊、漬物
井上副長が、近藤先生が作る雑炊は美味かったなぁと
確かに、この雑炊は、あまり美味くないが
局長の作った雑炊は知らないので、何とも言えないが
沖田組長も同じようなことを言っていた
当直、宵五つ頃、番所から、
南巡察に行っている四番隊が吉祥院の傍で斬りあいになっているとのこと
駆けつけたところ、浪士二人を捕縛、二人に逃げられたとのこと
屯所に戻り、寝る


by sizuma777 | 2020-08-09 19:58 | 小説 | Comments(0)